心の悩みの詳細(4) |
パニック障害(薬なしの改善、解消方法)
最近、パニック障害という病名を、よく聞くようになりましたが、これは最近になって新たに起こってきた症状ではなく、すでに昭和の初期から知られており、神経症の一つの形である不安神経症と同一のものだと言えます。
しかし、アメリカの最近の学説に影響され、この原因が脳内の異常物質によるものとされているのは嘆かわしいことです。 すでに昭和の初期に、森田療法や、フロイトの精神分析によって脳内の異常ではなく、精神的な「からくり」から起こってくることが証明されているのです。 ですから、今は昭和の初期以前に逆戻りした状況だと言っても良いのではないかと思います。 また、今は、パニック発作などパニック障害の症状を単に薬の力だけで押さえるだけの治療に終わっていることで、本来、治るはずの症状が薬物依存と重なり、かえって、こじれてしまっていることが多いように感じます。 このため、パニック障害のために、一生薬を飲みつづけなければならない、ということになっている人も少なくないように思います。 最近、イギリスで薬物療法の限界を自覚し、精神療法で対応するという流れが出てきましたが、これは非常に良いことだと感じています。 つまり、ここに来て、ようやく精神医療の逆戻り状況が改善されてきているように思います。 日本においても、いくらか、この流れが出てきましたが、まだ薬物療法がメインになっているのは代わりがないと思います。 しかし、森田療法で言っているように、パニック障害は心理的なメカニズムで起こるものであるというのが、より事実に近いのではないかと思います。 ですから、これから認知行動療法と共に森田療法の認知度が上がってくることを期待しているところです。 |
■急に心臓がドキドキし、今にも心臓麻痺で死ぬのではないかと感じる時がある。 |
■めまいなどで人中で卒倒してしまうのではないかと不安になる。 |
■不安で電車やバス、飛行機に乗ることが出来ない。 |
■不安で家族と一緒でないと外出できない。 |
■急に呼吸が苦しくなり、恐怖を感じることがある。 |
■不安で一人で留守番できない。 |
■突然、動悸が起こってしまう。 |
■吐き気がしてしまい外で食事が取れない。 |
■エレベーターなど狭い場所に入ると不安になる。 |
パニック障害に悩む人は、対人恐怖(対人恐怖症、あがり症)に悩む人のように神経質性格に見えない人も多いものです。 人付き合いが良く、リーダーシップのある人も多いために、自分自身でも、神経質性格だと感じていないことが多いのですが、よくよく考えてみると、神経質性格の特徴のいくつかを持っているものなのです。 また、パニック障害の場合は、症状が起こるようになった「きっかけ」がハッキリしているということも特徴になると思います。 出張で飛行機に乗ったことがきっかけになったり、二日酔いの時に、心臓のドキドキが起こり不安発作を起こしたことがきっかけになったりすることが多いものなのです。 <パニック障害に悩むTさんの例> あるサラリーマンのTさんは、営業社員として常にトップに近い成績を上げていました。 毎日、夜遅くまで残業をし、休日も仕事の付き合いに費やすほど仕事熱心なTさんでしたが、ある朝、通勤電車の中で、突然、激しい動悸を感じ、不安になってしまいました。 心臓発作でこのまま死んでしまうのではないかと感じ、途中の駅で電車を降りてしまいました。(パニック発作) この日を境として電車で通勤している時に、たびたび動悸を繰り返すようになり、そのうち、「またあの苦しさが起きるのではないか」と電車に乗る前から意識するようになってしまいました。 そして、ラッシュ時間を避けて通勤したり、途中下車を繰り返すようになりました。 思いあまったTさんは、心療内科を訪れ、自分の症状がパニック障害であることを知りました。 そして、病院で出してもらった不安を抑える薬を飲むようになりました。 確かに薬を飲むといくらか不安が和らぐことを感じましたが、このまま自分は一生、薬を飲み続けなければならないのかと、今度は薬を飲み続けることに対しても不安を感じるようになりました。 しかし、薬を飲まないと、不安で電車にも乗れないということで、毎日、心の葛藤を感じながら過ごしているのです。 神経症から来るパニック障害の場合は、上の例のように病院からもらった薬を飲んでも、思うように症状が改善してこないことが多いものなのです。 しかし、森田療法の考え方を身につけていく中で、不安や死の恐怖対する「とらわれ」が薄れてくることで、少しずつ改善し、解消してくるものなのです。 |